騎士の家系であるインペラタは200年前世界を魔王の魔の手から救った英雄の一族だった。
現在インペラタには二人の娘がいる。
長女ラガッツァはその容姿から初代と同じ名が与えられ、その名に恥じぬ力をつけていった。
現インペラタの若き当主であり、次期騎士団長としてさらなる高みに上ることを期待されていた。
次女レジネッタ。その名もまた、勇者の一人である当時の女王の名前だった。
彼女もまた、容姿が女王レジネッタに似ている為その名を授かることになった。
しかし、彼女には不幸が訪れる。レジネッタはインペラタ家の者としては珍しく、致命的なまでに武の才能にかけていたのだ。
どれほど学び、鍛えようと、インペラタに求められる水準どころか並の兵士のそれにも及ばなかったのだ。
それでも、彼女はインペラタの一族として剣を離さなかった。
しかし、ついに当主である姉より一つの指示が言い渡される。
貴族の娘として、嫁ぐ準備をしろと。
レジネッタにとってその言葉は死刑宣告にも等しく、思い余った末に家を飛び出してしまうのだった……。
この世界にはここ十数年の間に「侵食領域」と呼ばれるモノが出現するようになっていた。
「侵食領域」とはマモノが跋扈し、ヒトが住む事ができない領域である。
この領域はダークオーブと呼ばれるコアを中心に発生する。
放置すると次第に広がり、限界まで広がったその時、近辺に新たなダークオーブを発生させる。
広がることを食い止めるにはマモノを倒し続ける必要がある。そして領域を消し去るには、ダークオーブを破壊する必要があるのだ。
そのための防衛都市フロンティア。作られた順に番号が振られるその街は、領域を制覇するもの……開拓者たちの街であった。
そして、レジネッタはフロンティア5へとたどり着く。インペラタの者として胸を張れる実力を、実戦の中で手に入れるために……。