若くして大国の騎士団長を務め、その華々しい功績の数々から英雄と持て囃され国民から絶大な支持を受けている女騎士――ロレッタ。
ある日、騎士団を率いて異常が起きている森の調査に向かったロレッタだが、そこで組織だった魔族の襲撃を受け、同行していた部下や学者たちを逃がすために殿となって孤軍奮闘した末、最後に現れた強大な魔族にトドメを刺され囚われてしまう。
次にロレッタが目を覚ますと、そこは綺麗な部屋のベッドの上で……状況を理解できない彼女のもとに、頭から角を生やした少女がニコニコと笑顔を浮かべてやってくる。
彼女は自らを“支配人”と名乗ると、ロレッタが今置かれている状況を説明し始める。
曰く――あなたは魔族に囚われ、魔界の闘技場へと連れてこられた。人間たちの世界である地上に帰りたければ、この闘技場に選手として出場し、見事勝ち抜くしかない。
魔族たちが観客として大勢詰めかける闘技場で、魔族が定めたルールのもと、魔族を相手に勝ち抜く――それは、どう考えても餌をチラつかせてロレッタを玩具にして楽しみたいだけの悪趣味な提案に思われたが、ロレッタには他の選択肢などあるはずもなかった。
かくして、誰もが英雄ロレッタの無様な負け姿を望んでいるという四面楚歌の闘技場で、絶対に負けられない闘いへと挑むロレッタであった――。